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What's Chiropractic? カイロプラクティックとは

カイロの主な適応症

適応症を語るためには、前述の“禁忌”に対する充分な認識を前提になされなければなりません。
ここでは、効果のある主な症例の中から7項目を選び、その病理のメカニズムとカイロ治療のアプローチの方向性と方法の紹介にとどめました。
病名や症例の羅列によって生じ得るカイロに対する過大な期待、あるいは、誤解や曲解を避けたいという考えからです。

 

主な適応症① ムチ打症(頸部加速/減速症候群) 

 

俗に言うムチ打症は、交通事故の直後よりも、ずっと後で症状が起こってくることが多いとされています。統計的には、24時間以後から1週間の間に発症するケースが約90%と最も多く、1ヵ月から1年以内に発症する例もわずかにみられるようです。ですから、例え軽い事故であったにしても、軽く転倒した程度で、その時には何にも症状がない状態であっても、ムチ打症にならないという保障はないのです。

 

加速/減速障害によるムチ打様の衝撃が、頸椎や脊椎のちょっとしたズレを引き起こします。もし、治療もせずに放置しておいた場合、頭痛、頸部痛から腰痛、坐骨神経痛、副鼻腔炎、アレルギー、肩や腕の痛み、自律神経障害などに至る広範囲の症状が起こり得るでしょう。障害がどこの部位に及ぼうと、交換するスペアはありません。

 

外傷は靭帯、筋肉、神経、脈管系にまで影響してきます。こういう組織は軟部組織と呼ばれ、過伸展しすぎたり、いったん傷めてしまうと治るまでに時間がかかります。はん痕が組織に現われる場合があり、そうなった時には、組織は以前の正常な組織に比べると、元のようにならないのです。はん痕は、例えば衣服が破れて、つぎ当ての役目をしていると考えてください。

 

頸椎では100以上の靭帯や筋肉が、ルーズな形でつなぎあっています。したがって、しっかり固定されているわけではありません。そのために、首は大きな可動域があるのです。首は7つの骨と32個の関節からできています。頭は首よりも重く、不安定であるため、頸部への不意の加速/減速のモーションが、非常に高い確率で、頸椎などのサブラクセーションを引き起こすことになるのです。例え事故後しばらくして、痛みが楽になったからといって、安心はできません。時間の経過に従い、また、痛みが増してくることがあるからです。その上、放置されたサブラクセーションは、関節変性の始まりとなるでしょう。

 

最近、日本でも自動車保険損害賠償責任保険などで、カイロプラクティック治療を求めて来院する人が増えており、カイロ治療効果に注目し始めた。保険会社の現場実務の担当者を集め、カイロプラクティック治療のデモや説明のセミナーも開催され、その盛況ぶりには保険会社サイドの関心の高さがみられます。

 

ムチ打症で悩んでいる方は、是非カイロプラクティックのアプローチによる治療を試みてください。 

 

主な適応症② 顎関節(TMJ)のトラブル

 

数ある関節の中でも、顎関節が重要な関節であることを、一般的には良く知られていません。ところが、実際には、この顎関節の異常によって、日常生活を脅かすような身体の不調を来す症例が少なくないのです。顎関節は頬骨と下顎骨で構成され、頭蓋骨や頸部に筋肉を走行させている関節です。口を開いたり、閉じたりする時に、耳たぶの内側に顎関節の動きを感じとることができるでしょう。

 

顎関節の異常は、話をしたり、物を食べる時、力んで歯を食いしばった時に、違和感を覚えることによって、感じることができます。顎関節周辺の不快感だけでなく、頭痛、頸部痛、腰痛、肩の痛み等として発症することもあれば、時には、全く思いもよらぬ問題を引き起こすこともあります。例えば、精神的な不安定、ふらつき、身体のバランス異常、高血圧、鬱症状、視力異常、難聴、悪心など。 

 

顎関節のトラブルが、こうした症状と関連があることを、歯科医やカイロプラクターは以前から知っており、問題にしていました。ケガや交通事故、筋肉のアンバランス等で起こっている顎関節問題の解決を、アメリカではいち早く、歯科医とカイロプラクターが一緒に研究し、治療にも当たってきたのです。顎関節のトラブルは、日常の何でもない姿勢や、アゴの打撲でも問題を引き起こすことがあります。アゴへの強力な打撃は、顎関節を脱臼させたり、ズレを起こすだけではありません。数週間から一カ月位で、いろいろな問題を発症させることにもなりかねません。

 

子どもが頬杖をして、本を読んだり、テレビを見たりする姿勢は、知らず知らずに顎関節にプレッシャーが加わり、TMJサブラクセーションを誘発するのです。例え小さなズレでも、多くの問題が引き起こされる可能性があります。その場合、多々警告信号があるので理解しておくとよいでしょう。口を開けるとグチグチ音がする、開口の途中でカクンと大きく動く、食物を噛むと痛む、ご飯を食べてアゴがだるくなる。これが顎関節異常のシグナルです。他に、自分でできるチェックは、大きく口を開いて、3本の指が縦に難なく入れば正常と言えるでしょう。

 

顎関節の構造、そして広範囲の問題を考えた時、特に脳と顎関節の神経との関連性を強調しすぎることはありません。こうしたことが指摘されるようになったのは、ここ数十年のことなのです。カイロプラクターと歯科医はこの関節が引き起こす多くの症例を理解してきました。カイロのアジャストメントは、こうした顎関節問題を得意にしていますが、それは単に、顎関節の問題のみにアプローチすることなく、頚椎や他の関節や筋肉の問題を含めて、総合的に治療しているのです。

 

主な適応症③ 腰痛

 

いわゆる腰痛と呼ばれるものは、なんらかの原因で腰から出てくる神経が痛みを感じることです。

 

腰とは背骨(脊柱)の下部から骨盤にかけての屈伸する部分のことです。背骨をつくっている骨を椎骨と呼び、腰にはこの骨が5個、上下に積木のように並んでいます。五つの椎骨がつながる部分を椎間関節といい、この関節の前から脊髄より枝分かれした神経が出ています。 

 

腰痛を起こす原因としては主に

 

①「椎骨」(脊椎)を連結している「椎間板」に、この神経が接触して神経を興奮させる
②「椎間関節」が接触して知覚神経を興奮させる 
③脊柱の一番下の仙骨と、寛骨(骨盤)との間にある「仙腸関節」がねじれて痛みを出す
④背中の筋肉がパンパンに張ってしまい、「筋肉やその筋膜」より痛みが発生する 

 

痛みを発生する組織としては筋肉、筋膜、腱、靭帯などがあります。これらの軟部組織には知覚神経が分布していて、組織の異常により神経が刺激され痛みを感じます。神経の根元が直接痛みを発生していることもあります。

 

いずれにしても、興奮した神経をもとに戻さなければ痛みはおさまりません。腰痛の治療とは、軟部組織の異常を改善し、神経の異常興奮を低下させることなのです。そこで、まず整形学的検査、神経学的検査等を行います。検査により腰痛の種類を鑑別してから、各々の症状にあった治療を行います。

椎間板が神経に直接接触するタイプの腰痛は、症状的にはかなりひどく、腰痛に加えて下肢に痛みやしびれ感、冷感、場合によっては筋萎縮が起こります。治療方法としては異常のある椎骨間を広げて、神経が当たらないようにします。

 

椎間関節が接触して痛みを発生している腰痛は、立つことはおろか横になっていても痛みがあり、寝返りをうつこともままになりません。この場合の治療法は関節間隙を広げ、椎間関節が接触しないようにして、神経を興奮させないようにします。

 

仙腸関節による腰痛では、朝洗顔ができない、椅子にしばらく腰掛けていて立ち上がろうとすると臀部に痛みがきて立ち上がれないなどの症状が出ます。これはねじれた仙腸関節にストレスがかかるためで、正しく噛み合っていない仙腸関節を正しい位置に戻して、引き伸ばされて痛みの出ていた靭帯に無理がかからないようにします。

 

筋肉・筋膜が緊張して痛みが出ているときには、それらの組織を伸展させて神経の興奮を抑えます。 

 

このようにして、症状にあった治療法を行うのがカイロプラクティックの治療なのです。

 

なお、これ以外の原因で腰痛が起こることもあります。そのような場合でもカイロプラクティック治療の適応となるものがあります。まずはカイロプラクターにご相談ください。

 

主な適応症④ 肩こり

 

肩こりは東洋人(とくに日本人)に特有の症状で、上部僧坊帽筋、肩甲拳筋、菱形筋、胸鎖乳突筋などが緊張しすぎて硬くなり血行不良を起こしたり、反対に弛緩してしまい正常に収縮ができなくなるために起こります。症状としては肩の痛みや頭痛、首や肩が動かしにくい、重苦しい、希には吐き気がしたりします。

 

肩こりを起こす主な原因としては

 

①脊椎のズレ
②ストレス 
③姿勢の異常
④交通事故などのムチ打ち
⑤希に内臓の疾患のためなど カイロプラクティックでは肩こりをどのように治療するのでしょうか。

 

まず最初に何が原因で肩こりが起こり、どの筋に問題があるのかを調べます。

 

もし、異常を起こしている筋が正常に収縮できなかったり、緊張してしまっている場合には、筋にある神経固有受容器の筋紡錘やゴルジ腱を処置したり、筋膜が収縮しているときにはこれを伸長させることにより肩こりを治します。 

 

肩こりに関連する僧帽筋あるいは胸鎖乳突筋は、脳神経より直接支配されています。そのため、精神的影響が大きく作用します。ストレスが溜りますと、同じ脳神経に神経支配されている上部の頚椎がサブラクセーションを起こします。これが悪循環になり余計に憎帽筋などがこってしまいます。

 

また、勉強中や家事仕事、オフィスでの姿勢などが悪いために、脊椎が「ズレ」るために肩こりを起こすことがあります。サブラクセーションがあると周囲の筋は正常に収縮できなくなったり、緊張を起こしたりします。もし、これらのサブラクセーションにより筋のバランスがなくなってしまったために起こっている場合は、それにアジャスメントを施すことにより肩こりを治します。

 

交通事故などで「ムチ打症」になると頚椎はミリタリーネック(まっすぐな頚椎)になってしまいます。これが上部憎帽筋を緊張させ、肩こりになります。治療としてはアジャスメントにより頚部が正常な彎曲をもつように処置します。このようなケースでは頚部を支える筋が異常に興奮していたり弛緩してしまっていることが多くあります。これらの筋群を処置して頚椎を安定させます。

 

これ以外に変わったところでは、例えば顎関節などがあります。噛み合わせに使う筋のバランスが悪くなるなどで、顎関節が正常に動かなくなります。それが頚椎に影響して、ついには肩がこってきます。治療としては顎関節の動きを正常化するために必要な処置を施します。

 

肩こりが起こるとすぐに按摩したり、肩をたたいたりする人がいますす。なるほどその場は楽になりますが、そうすることにより肩こりを起こしている筋の筋紡錘が浮腫を起こしてしまうのです。

 

その結果いわゆる「もみかえし」が起こり、次に日にはより以上に筋が収縮してしまったり、弛緩してしまうのです。これを繰り返していると益々肩がこるようになり、しまいにはどうしようもなくなってしまいます。欧米人には無く、日本人に慢性の肩こりが多いのは、実はこの按摩の習慣のためです。肩こりを治すためには肩を「按摩しない」「叩かない」ことが最も重要なことです。

 

自宅でできる肩こりの処置法としては、決して筋を「もまない」で、その代わりに患部を温めてから肩を動かすことです。温めの風呂に少し長めにつかって(15~20分)、充分に暖まったら肩を大きく動かすと良いでしょう。全身を使う運動、例えば水泳なども効果があります。

 

肩こりは、単に症状として現れるばかりでなく、何か別の原因のために起こることがあります。「最近肩こりがひどいな」と思ったら、カイロプラクティックのチェックを受けてみてはいかがでしょう。

 

主な適応症⑤ 膝の異常

 

膝関節は全体でみると蝶番関節という構造で、ドアの金具のような働きをします。膝から下(下腿)を曲げ伸ばしさせ、足を前後に動かす機能がありますが、膝関節を中心に下腿をねじることはほとんどできません。このことは膝の機能異常を理解するために重要ですので覚えておいてください。

 

 

 

膝の関節をつくっている構造物は 

 

①ふとももの骨(大腿骨)
②膝から下の骨(脛骨)
③膝のお皿(膝蓋骨)
④膝の軟骨(内・外側半月板) 
⑤内・外側副靭帯
⑥前・後十字靭帯 
⑦輪状靭帯 
⑧関節包 
⑨膝蓋靭帯 
⑩関節周囲の筋肉 

 

などで、相互に関係して関節を正常に機能させています。 

 

機能的には、体重をささえるもの(①、②)・動きを円滑にするためのもの(③、④)・関節を安定させるもの(⑤、⑥、⑦、⑧)・関節を動かすもの(⑨、⑩)に分けられ、これを覚えておけば膝の異常が起きたときに見分けることができます。

 

一般に膝関節の傷めやすい場所は、膝蓋骨の上・下、膝の内側、後側が多く、外側はあまり異常を起こしません。また異常の状態は、動かすと痛む、じっとしていても痛む・うずく、腫れる、力が入らない、あるいは膝が充分に伸びないなどが主で、それぞれが異常の起きている場所・状態に関連しています。

 

膝の前面で、膝蓋骨の上下で痛みが起きる場合は、大体四頭筋(ふとももの筋肉)や膝蓋靭帯(膝のお皿の下)が正常でないことが多く、後面で痛むときは前・後十字靭帯や膝関節後方の筋(膝窩筋、大腿二頭筋、下腿三頭筋)に異常が生じています。膝の内側が痛む場合は、内側半月板、内側側副靭帯、あるいは膝の内側についている筋肉の筋力がおかしいなどが原因になります。

 

膝の異常は青少年時代は外傷によるものか、スポーツなどで膝を使いすぎて発生します。スキーは膝を中心に上半身の方向を変えます。バスケット、テニスでは踏み出した足を軸にして動く方向を変えます。そのときに膝をねじるのです。膝関節は曲げ伸ばしは自由にできますが、ねじる動きができるようにはつくられていないので、このときに半月板や輪状靭帯を傷めてしまいます。サッカー、ラクビー等のコンタクトスポーツでは片足で立っているときに膝にぶつけられて、側副靭帯・十字靭帯・半月板を傷めることがあります。

 

ある程度歳をとってから傷める場合は、主に膝の各部分の動きが悪くなるか、周囲の筋肉の働きが悪くなって起こることが多いようです。靭帯・関節包が固くなってきたり、筋肉の収縮力がなくなってくると関節を正常に保てなくなったり、正常な動きができなくなって痛みが起きてきます。また関節表面の軟骨が異常にこすれて炎症が起きて、関節が腫れることもあります。

 

カイロプラクティックではこのような場合、アジャスト、固定等で関節の動きの異常を改善し、靭帯の痛みの感受性を低下させます。関節のねじれによって半月板に損傷がある場合は半月板をもとの位置にもどして、周囲の筋の緊張度を正常に戻して、テーピングで関節を安定させます。関節にアライメント(ズレ)が起こっていると、関節が動くたびに異常な圧力がかかるため炎症を起こして腫れてきます。そのようなときにはアライメントを正しい位置にもどして炎症がおさまるようにして、テープ・包帯等で固定します。

 

膝に異常があれば、まず正座がしづらくなります。座った状態から立ち上がるときに力が入らなくて立ちにくく、立ち振る舞いに支障がでてきます。進行すれば曲げ伸ばしが苦痛になり、正座ができなくなってしまいます。

 

また、痛みのため、次第に身体を使わなくなるだけでなく、腰や他の部分を傷めることにもなりかねません。膝は立っている時にバランスをとる重要な働きがあります。膝に異常が起きればすぐに膝でバランスをとる動作に支障をきたします。歩くとき、階段の昇り降り、立ち座りや身体のバランスをとるのがしづらくなってきたと思われる時は、カイロプラクティックの治療で早めに調整しておくべきでしょう。

 

主な適応症⑥ 機能性低血糖症

 

この低血糖症、案外知られていない割には、随分多くの人たちを蝕んでいるようです。アメリカでは大分前から社会問題になり、知らない人がいないくらいポピュラーな病気でもあります。これは、単に肩がこる、胃が痛い、気分が乗らないなどの症状に始まって、精神状態が乱れ、身体の臓器もバランスを崩し、能力低下に陥り、しまいには身体の組織を破壊してしまうというものです。しかも、私たちの身近にこの恐怖は常にあるのです。

 

ひょっとして、自分も…?と不安になる前に、次の五つの自己チェックをしてみてください。

 

①朝、頭がボーとしていて起きられない
②太陽、あるいは明るい光を見つめると、まぶしくて目を細めてしまう 
③立ちくらみが良く起こる 
④甘いものが好き 
⑤いつも体がだるい 

 

以上、五つのチェックで三つ以上該当するようでしたら、機能性低血糖症を疑ってみてください。この病名、余り耳慣れない言葉ですが、体内のエネルギー源である血糖値(グルコースの量)が低くなっている状態のことなのです。もちろん、これは病的な状態ではなく、機能的な異常を指しています。

 

では、「機能的低血糖症」とはどんな症状なのでしょう。身体の各器官をコントロールしている神経は、血糖(血液中の糖分)の主成分であるグルコースによって養われております。これは人間のエネルギー源なのです。例えば、自動車はガソリンというエネルギー源がなければ走ることができません。人間も同じです。筋肉を動かすことも、心臓がポンプ作業をすることも、呼吸や、物事を考える作業まで、糖(グルコース)が血液中に溶け込んで全て人間のエネルギー源となります。神経では、エネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)をグルコースからしかつくることができません。ですから、この血糖値が低下すれば、神経は栄養不足になって正常に働かなくなります。神経の中でも特に大腿神経はこの影響を受けやすく、下肢がだるくなったり、腰痛が起きたり、あるいは階段の昇り降りがしづらくなってきます。

 

脳は神経のかたまりですから、当然ながら機能も低下してきます。まず初めに、脳の中でも生命の維持に直接関係のない部分、つまり思考回路に影響が出始めてくるのです。何となくやる気が起こらない、仕事や勉強に集中できない、いつも身体がだるい、頭がすっきりしない、いつも眠い、こんな症状が「機能性低血糖症」の始まりなのです。

 

身体のいろいろな機能が正常であれば、血液中のブドウ糖の量は、血液1dl当たり50~140mgに維持されています。しかし、それが維持できなくて50mg以下に落ち込むことがあります。それが低血糖状態ということです。では、何が原因でそういう状態に陥るのでしょう?いろいろな原因が考えられますが、もっとも代表的なものは、砂糖の入った食品や料理を取りすぎることがあげられます。それに、食事の間が長いこと、ストレス、副腎の疲れなどでしょう。なぜ砂糖を食べて血糖値が落ち込むのかといいますと、実は血糖値が急激に上がるからなのです。砂糖は自然の食品に含まれている糖ではなく、精製して純粋にした糖ですから、たちまち吸収されて血糖値を一挙に高めるのです。その増え方があまりにも急なために、身体の対応が過剰になって、逆に今度は血糖値を下げすぎてしまいます。つまり、身体は膵臓からインシュリンを分泌して、血液中のブドウ糖を細胞に取り込んでいるわけですが、血糖値が急に上がるとインシュリンを出しすぎてしまうために、血糖値を逆に落ち込ませることになるわけです。そうなると、脳と神経系のエネルギー源であるブドウ糖を取り込めなくなりますから、頭の働きや脊柱の神経機能がスローダウンして、全身の機能にいろいろの問題を引き起こすことになります。

 

低血糖状態は単に神経系の異常を引き起こすだけではありません。血糖値を調節しているホルモン系統の異常も引き起こすことになります。甲状腺ホルモンの分泌が低下すれば、体内のエネルギー代謝も低下してきますから、「冷え性」にもつながってきます。あるいは、脳下垂体ホルモンの制御が不安定になり、副腎皮質ホルモンの分泌が悪くなると、「ストレス」に対しての抵抗力が低下します。ですから、児童、学生では登校拒否や家庭内暴力などを引き起こしやすくなってきます。

 

岐阜県のある中学の教諭が、中学生の食生活調査を行った結果が新聞報道で紹介されました。それは、調査した児童の3分の1は朝食抜き、4人に3人が糖分の取りすぎで、「だるい」「集中力がない」などの症状を訴えている生徒が4人に1人という結果でした。調査に当たった教諭は中学生の食生活の乱れを指摘しながら「三食きちんと食事していない子は、間食の糖分に偏り、低血糖症、精神不安定につながっているのがよく分かります」と忠告していました。 

 

アメリカでは10年来、低血糖症に対する研究が行われてきました。日本でも最近岩手大学児童心理学の大沢教授が、登校拒否児童に対して長時間の糖負荷試験を行った結果、あきらかに機能的低血糖症を起こしている児童がほとんどであったという研究結果を発表しています。機能的低血糖症の児童に与える影響はこれだけではなく、集中力の低下により落ち着きがなくなり、学業成績が低下したりします。

児童だけでなく、大人でも集中力がなくなった、身体の疲れが取れないなどの低血糖状態が出始めたら、悪化する前にカイロプラクティック治療で回復を図ることが先決です。カイロプラクターはこの「機能性低血糖症」に適切なアドバイスをして、あなたのやる気も集中力も、子どもさんの学業成績の向上にも一役買ってくれることでしょう。 

 

主な適応症⑦ 足の異常・扁平足

 

歩いたときに足が痛くなるのは扁平足によることが多いのです。扁平足とは足底にあるはずの縦のアーチが下がって足の裏側のくぼみがなくなって「ぺったんこ」になっている状態のことです。アーチが下がってしまうと外見が悪くなるばかりでなく歩いたときに「バタンバタン」とした感じになります。濡れた足で歩くと足形にくぼみがないために、まるで「わらじ」で歩いたような足形ができてしまいます。足の形は左右同じですが、扁平足になると足の大きさが左右で違ってきて、悪い方が一回りも二回りも大きく見えます。靴を買うときに左右のサイズが違っていることに気付くときがあります。 

 

扁平足で一番困ることは少し足を使っただけで疲れてしまうことです。しかも足の筋肉に正常な筋力が出なくて、歩くときにスタイルが悪くなります。 

 

一般に扁平足は治療されず無視されてほったらかしになっているのが現状です。歩けばすぐに疲れるので、あまり外出をしたがらなくなります。男性は行動力が減少して仕事に差し支えます。女性は買い物あるいはウインドーショッピングなどがしたくなくなり、大変つらいことです。

 

解剖学的にいうと、扁平足は立方骨が下がって足の縦アーチがなくなり、さらに中足骨頭がつくっている横のアーチもつぶされた状態(開張足)です。反対に上方に持ち上がり(ハイアーチ)動かなくなることもあります。足のアーチはいわばショックアブーバの役目をしています。足が持つ「自然」のショックアブーバが機能しなければ、地面からの衝撃を直接に受けてしまうことになります。

 

足のアーチは、前脛骨筋、後脛骨筋、長短腓骨筋および足底にある多数の筋肉で支えられています。何かの理由でこれらの筋肉が力を失うとアーチが支えられなくなり消失してしまいます。しかし、逆にアーチがなくなることにより、それらの筋肉が異常をきたすこともあります。従ってアーチがなくなることは、足の筋肉に負担がかかることで、異常に疲れやすくなります。これらの筋肉(特に前脛骨筋)により足関節のサポートがなされているので足首の支えが弱くなります。わずかな段差でつまずいたり転んだりしやすくなり、場合によっては捻挫をしたりします。また、足底の靭帯が伸びきった状態になるので、長時間立っていると足の裏がほてり、痛くなります。

 

大阪大学名誉教授の水野祥太郎博士の研究によると、死体の足に加重を掛けていくと数時間で数mmアーチが下がるそうです。正常な足ではそれ以上は下がりません。しかし、急に太ったり、普段あまり足を使わない人や病気で長期間寝ていた人が急に長時間立って歩いたり仕事をすると、アーチは異常なさがり方をしてひどい扁平足になってしまいます。

 

扁平足はいいかえれば足根骨のアライメント(ズレ)の異常であり、背骨と同様に長期間それらが続けばその形に足根骨が変形してきます。

 

扁平足になるとアーチが働かない分だけ膝関節にも負担がかかります。あるいは股関節、腰部に異常を引き起こすこともあります。臨床的には膝関節に異常が発生することが多いようです。

またカイロ的に考えると、足のアーチが消失したという、単に機能的な異常ばかりではありません。先に述べた筋力の低下は内臓の機能低下からきているかもしれません。内臓の機能低下により筋肉にあるr-神経を直接抑制するために筋力が低下してしまうのです。それらの機能低下により扁平足が生じたのかもしれません。カイロ的にそれらの治療も必要でしょう。

 

扁平足はこのように色々な問題を生じさせますが、心配はいりません。適切に処置を行えば充分に回復します。足が疲れやすい、あるいはすでに足のアーチが落ちているなどの状態は、カイロ治療で足のトラブルを改善した方が賢明でしょう。

 

 

re-bone 等身大のカイロプラクティック より抜粋

カイロプラクティック・マガジン【リ・ボーン】NCA出版部

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